切ない別れ《番屋》のこと。
《長屋》と呼ばれる保護部屋には
人間が苦手な猫やキャリアで人馴れが難しい猫達が生活しています。
保護して2年以上過ぎても部屋に入ると
まるで初めて会ったかの様に凄い勢いで隠れまくります。
高齢者の餌やりさんからお願いされた猫。
譲渡には難しそうな生粋の野良猫。
相談者は2年ほど前に餌やりしていた猫を全てTNRをお手伝いしていた方でした。
保護した猫は名前にお風呂シリーズでつけたので、覚えている方もいるかもしれません。
今回、2度目の依頼があり自宅に伺うと相談者に
アルツハイマーの症状が出始めていました。
何度もお会いしていたはずに私の顔を覚えてはいませんでした
内容は高齢になり家族も心配して一緒に暮らすために、自宅を出なければならないが残った外猫達をそのままにして置けないのでとにかく猫達を保護してほしいの一点張り。
譲渡が難しい野良猫を保護することは、当団体のとしても頭を悩ませることなのでお断りしていたのですが….
結局、根負けして
先日2匹目の猫を捕獲
それが《番屋》でした。
やはり長いこと野良生活をしていたこの猫は
ケージ暮らしの中でストレスを感じていたのか
ご飯を受け付けなくなりました。
強制給仕や点滴も難しく一旦ケージから出して様子を見ましたが、あまり思わしくありませんでした。
他の猫との相性もあまり良くなかったのです。
最終的に弱り出してどうにか点滴や強制給仕をしましたが時すでに遅く…
ある朝
その命は事切れていました。
大きな身体だった番屋の身体はすっかり小さくなっていました。
助けるはずの猫をこの様な形で失うことは
本当に辛いです。
まだそのお宅には野良猫達が数匹います。
同じようになるなら外にいた方が幸せなのか…
いつも葛藤する瞬間です。
長屋ももう沢山の猫達で溢れています。
美唄
小樽
京極
豪邸猫
しかし保護の依頼は後を絶ちません。
相談者と連携を取れる場合は良いのですが
丸投げする方も少なくありません。
野良猫問題はそう簡単に解決できない問題でもあります。
番屋には嫌なことしかしておらず、心が疲弊します。
ごめんね….
ごめん
最初で最期に触った番屋の身体は
まだ少し暖かくて
哀しくて、、、
政五郎のように皆んなから愛されて惜しまれて
スーパーマンのように虹の橋を渡っていく猫もいれば、番屋のように人知れずその命を終えていく猫もいます。
それは誰のせいでもなく
この苦しさや
怒りや
切なさをどこにぶつけて良いのかさえ
わかりません。
今はできることをやり続けるしかないと
思っています。